愛猫物語
「実は私は犬が苦手だった。」
というより、今までは犬より猫が好きだったのだ。
多分、幼少時代に自宅で猫を飼っていたのが大きいと思う。
約20年前、家族4人でペットを飼う話が出て、私以外「犬がイイー!」という声を「うっちゃり」で翻し「どうせ飼うなら猫!」
と決めたのだった。
その「ねこ」は意外な所から我が家にきた。
娘が「動物病院で捨て猫が何匹かいて貰ってくれる人を探しているよ」と言うので見に行った。
そこにつぶらな瞳をじっとこちらに向けて
「私を飼って!」
と言わんばかりの子猫がいたのだ。
「う~ん、これは飼わねばなるまい」心やさしい私はその子猫を抱きかかえたのだった。
我が家に連れてきて、家族に披露した。
案の定、
「かわい~い!」
と、すぐ反対意見もなく、すんなりと家族のアイドルとなったのだった。
キジトラのメスで名前は「みぃ」。正式名は「みかん」なのだったが短縮名で、「みぃ」と呼んだ。

その後、一匹だと可哀そうだということで同じ動物病院で捨て猫だった白猫の子猫を連れてきた。
同じメスだが、果たして「みぃ」が受け入れてくれるか心配だったが、無邪気な子猫は母親に対するように甘え、「みぃ」もそれに応えてくれた。
白猫の名は「もも」と名付けた。

本当に2匹は仲良しだった。
「もも」は「みぃ」にじゃれ、まるで本当の姉妹のようにすくすくと成長した。

全く性格の違う2匹だった。
「みぃ」は美人だが神経質で警戒心が強く「もも」は逆に誰にでもナツク愛嬌のある、おっとりとした性格。
2匹は正に家族の「アイドル」だった。
ただ大きな問題がでた。実は私はこの頃、空咳が出て止まらず病院で見てもらったら、何と
「猫アレルギー!」
という診断結果!「う~ん、これは困った!」今さら離せる訳もなく、
「どうしたらいいのだ?」
と思っていたら転勤辞令が出て単身赴任となり、思わぬ形でアレルギー問題は解決?したのだった。
それから二匹の猫は可愛がられ幸せな時を過ごしてきたが、約2年後「みぃ」は車に接触して死んでしまった。
その後、「もも」は「みぃ」を探して家の中で「ニャ~ン、ニャーン」と泣くのが哀れでしょうがなかった。
その後、「もも」は一度は他の猫に追いやられ3週間、家に戻れずに死にかけたが、九死に一生を得て助かり、それからは幸せな毎日を過ごし17歳の天寿を最後は妻の手の中で全うした。
2匹の猫は私達家族に貴重な「癒し」を与えてくれた。
「みぃともも」との想い出は私達の胸に深く残された・・。
これが犬を飼う前の「愛猫物語」である。